ishiwatamarimarimariishiwatta

07 2006

ありとしらす

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(きもちわるい話があんまり好きじゃないひとは読まないほうがいいのかもしれません、そんなにきもちわるいこと話すつもりではないんだけどいやなきもちになったらごめんね。)

みどりの土手に座ってお弁当を食べることにしている。
なるべく木かげを選ばなくてはならないのは、そうしないと身体がおかしくなるからだ。私はずっと夏が好きだったし炎天下が好きなのだが、炎天下に1時間近くいてもほとんど全く汗をかかない自分に気がついてしまい、そしてそののちぼんやりと具合が悪くなってしまうこともわかった。
今はもっぱら、汗をかく練習と健康なごはんを食べる練習に従事する毎日です。

そういうわけで、今日はいつもよりいっそう陰のほうに座ってお弁当を広げた。
なぜこれまであまり陰のほうを選ばなかったかというと、なんとなく虫がより多くいそうだからだった。そのことを半分くらい忘れていたけど、やっぱり虫がいっぱいいた。なぜほかのひとが地面でなくベンチに座っているのだろう、と思っていたんだけど、それはお弁当にありが入ってくるからみたいだった。ほうっておくと、たしかにありが寄ってきた。ちょっとぞっとして、身体が硬直した。身体がむずむずするような気がするのは、芝生のちくちくかもしれないがありかもしれない。ありが服の中に入ったのかもしれない。そうかもしれないしそうじゃないかもしれない。
私はしばらく身体をこわばらせていたんだけど、だんだん「そんなことは当たり前のことだ」という気持ちになってきた。お弁当の中にはいまにもありが入ってきそう、というか入っていた。でも「そんなことは当たり前のことだ」と私は思う。ひとまず自分がありを口には運ばないようにしよう、と、はしでつまむものを毎回点検しながら口に運ぶ。しかしきんぴらごぼうのごまあえの、黒いごまのひとつひとつが、果たしてほんとうにありではなくてごまなのかどうか、それは判断が難しいように思えてきた。あげくのはてにはごはんつぶのひとつぶひとつぶも、そのうえに乗っているしらすも。しらすは小さいけれど顔があってかわいい。こうなってくると、自分がなぜ、しらすのことは食べるのにありのことは食べないのか(食べるのはきもちわるい、と思うのか)、「そんなことはナンセンスだ!」という気持ちになってくる。
お弁当のほかの部位を食べるのに興じていると、気を許すとありがしらすを運ぼうとしていた。たしかにありとしらすはだいたい同じ大きさだった。ありがときどき、死んだ虫を抱えてえっちらおっちら歩いているのを見かけたことがある。それと同じような要領でしらすを持ち上げようとしていた。「そうだよねえ。」ありの黒くてしっかりとしたあごが、パクっと開いてよく見えた。でもそのしらすは悪いんだけど私のものです。そう思ってありからしらすを奪い返して食べた。
私はなぜ大小の魚を食べるのに、昆虫のことは食べないの?「そんなことはナンセンスだ!」すっかりそんな気持ちになる。

ありが服の中に入ったのかもしれない。そうかもしれないしそうじゃないかもしれない。私の身体はおいしいだろう。私だけでなく、どんな生き物のからだもきっとおいしいだろう。だから私のお弁当のしらすやえびに、ありがやってくるのと同じように、私の身体にもありは興味を示すだろう。ヨーグルトとか塩とか、オリーブオイルの味がするもんね。「そんなことは当たり前のことだ。」ありが服の中に入ったかどうかも私には把握しきれないし、もしかしたら知らず知らずに身体の中に入ってしまうかもしれない。でも、
私が今からだの中に飼っている病気の菌がいきものなのだとしたら、それより何倍か大きいありといういきものが、身体の中に入ったとしてもそんなにおかしくないような気がする。スーパーモデルは身体の中にサナダムシを飼っているという。「そういうこともあるかもね。」

私たちはいきものを食べて生きている。みんなだれかを食べて生きている。「今日もありがとうございます。」「しかし私は自分が生きることに必死なので、今のところ、あなたのために自分の身体を食わせてあげることはできないんです。」「ミアネヨサランヘヨ。」





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Posted by イシワタマリMari Ishiwata | 22:12 | Comment [0] | TrackBack [0] | 未分類

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